高齢者の一人暮らしや若年者の引きこもりの話になると、一人でいることそのものが問題のように言われることがあります。
ただ、中には一人で居ることが好きな方もいらっしゃいます。
以前、高齢者の施設へ実習に行った方から聞いた話なのですが、共有スペースに一人で座っている女性が居たので話しかけたところ、「実習へ来る方々が、私が一人で居るのを見かけて話掛けてくれるんだけど、私は一人で居るのが好きなのよ」と言われたそうです。
別に怒ったわけではなかったそうですが、実習に行った方は「そういう人もいるんだ」と気づけたそうです。
状態としては同じ空間・同じコミュニティーの中に一人ポツンといるけど、精神的な安心感がある状態です。
これを”ひとりで居る”状態と仮定します。
逆に、孤立していて誰も相手にしてくれない状況もあります。
これには同じ空間・同じコミュニティーにいる場合もありますし、いない場合も考えられます。
この時は、同じ場所にいても精神的に安心感は薄い状態です。
コミュニティからも外れればなおさらそう感じるかもしれません。
イジメもこれに該当するでしょうか。
これを”一人で生きている”状態と仮定します。
生活している中でアレコレあれば、一人でいたい時もあるでしょう。
それは1日のうちの数時間かもしれませんし、1年のうちの数日から数ヶ月かもしれません。
はたまた、人生の中の数年という場合も考えられます。学校や仕事に行けない状況はこれらに該当するでしょう。
ただそれが、”ひとりで居る”状態と”一人で生きている”状態のどちらに近いのかということです。
なんらかの声がけや支援をする場合は、この状態によって変わってきます。
もしかしたら、かたくなに「一人でいたい」という方がいるかもしれません。
このとき声がけとして気をつけることは、「ひとりで居てもいい」と「一人で生きればいい」の違いです。前者はその人の存在は受け入れていますが、後者はその存在を空間やコミュニティから排除する印象を持たれる可能性もありえます。
『行為は否定しても、存在は否定しない』
大事にしたいことです。